骨まがりの考え

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【図書館読書法】読みたい本は、自分で買わずに図書館に買ってもらう

読書法は数あれど実践するのは難しい。

読書を通して市政に参画する。

あなたは公共サービスをフルに活用しているだろうか。

話題のメルカリ読書法

近頃、読書を習慣とする人たちの間で実践されている読書法がある。それがメルカリ読書法だ。

メルカリ読書とは?メルカリ読書術について解説します - とーしばブログ

フリマ時代の読書術 - 無理なく月10冊を読む技術 - Halfway - 鶴田浩之のはてなブログ

この読書法をまとめるとざっと以下のようになる。

  • 新刊を買ったらメルカリに出品する
  • 商品価値を下げない*1ように読み切り、メルカリで売り切る
  • 売却価格は定価の7~8割で実質2割の出費で本が読める
  • 結果として読書量が増える

たしかに、メルカリ読書法によって①読書のコストの壁を突破することができるし、②読み切らないといけない環境を作りだすことができる。結果として読書量を増やすことができるだろう。

ただ、2~3日で読み切れるビジネス本であれば、フライヤーのような話題本の要約サービスがあるし、最悪&最低の手段であるが大型書店でパパっと立ち読みすればいい気もする。

また、メルカリで売却可能な本が前提となるので、どうしても話題本が対象となっていまい、インプット内容に偏りができてしまう可能性がある*2

私たちが読みたい本が、必ずしもメルカリで高価格で売れるとも限らないし、もともとの定価が高いハードカバーの専門書となると、そもそもの一時費用ですら抑えたいと思うのが普通であろう。

というわけで、「図書館読書法」である。

そもそも図書館ってどんな施設

日本図書館協会によると、図書館とは「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設」とされている。その歴史は古く、紀元前3世紀にはエジプトのアレクサンドリアに図書館が文化的な中心を果たしていた。

日本の図書館は図書館法が根拠法となり、国立図書館公共図書館大学図書館学校図書館専門図書館、その他図書館に種別され、運営されている。今回の記事の対象となる図書館は、公共図書館である。公共図書館は、図書館サービス、つまり、図書、視聴覚資料等のか次第、地域に関する情報の提供、ビジネスや学習の支援、各種研修等のイベント開催などを地域住民に無料で提供する図書館である。

プトレマイオス朝エジプトから脈々と受け継がれる図書館の歴史のおかげて、私たちは図書館サービスを享受できる環境にいる。だったら、読みたい本があればまず図書館に行けばよいのである。

でも図書館の本ってちょっと古い、、、

ただ、図書館の蔵書にはひとつ大きな欠点がある。それは新鮮な本がないことである。言葉を選ばずに言えば、読みたい本が少ないのである。

 

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読みたい本がない・・・

読みたい本がなければ買ってもらえばいいじゃない

ただ、図書館に読みたい本がないからといって図書館を利用しないのは早計である。図書館にはリクエストサービスがある。これを使わない手はない。

市によって運営される図書館は、多くの場合、市の一般財源、つまり私たちが月々収めている住民税によって費用が賄われている*3。図書館の運営費用には、施設管理費、司書の人件費、システム利用料等のいわゆる運営費があるが、図書館資料の収集費という予算も設けられている。その図書購入費の割合はもちろん自治体によって異なるが、東京23区の場合人口1人あたり数千円~1万円強のレンジで予算が設定されている*4

つまり、自治体としてしては、サービスとしても予算としても市民が読みたい本のリクエストに応じて、本を収集する準備ができているのである。ならば、読みたい本がなければ、図書館にリクエストして買ってもらえばいいのである。

実際に図書館に本を買ってもらった

繰り返しになるが、読みたい本があったら図書館に買ってもらえばいいのである。私も実際に数冊リクエストして買ってもらった。そのプロセスは極めてシンプルである。①図書館の蔵書にリクエスト対象となる本がないことを確認する ②図書館に行く ③リクエストシートに必要事項を記入する ④リクエストが通るのを気長に待つ(私の場合1か月くらいかかった)。これだけである。以下がリクエストが通った本の例である。

図書館に本を買ってもらうデメリット

メルカリ読書法に穴があるのと同じように、図書館読書法もやはり欠点がある*5

一つが本が届くまでが非常に遅いことである。私の場合「この本読みたいな」と思いリクエストのアクションを起こしてから、実際に手元に本が届くまで約一か月かかった。楽天Amazonであれば最短翌日に手元に届いていることと比べると30倍のリードタイムである。

次にリクエストをリジェクトされる場合があることである。発売されて一か月以上経過していない新刊の場合、リクエストが採用されないことがる。理由は、恐らく新刊本の販売機会を奪ってしまうからであり、何らかの規定があるのだろう*6。鮮度の高い情報を手に入れたい人には受け入れ難いポイントであろう。

最後に図書館へアクセスしないといけないことである。私の住む自治体の図書館の場合、リクエストはネットではなく、実際に図書館に足を運び、紙の用紙に必要事項を記入して提出しないといけない。幸運なことに図書館は最寄りの駅近にあって、夜遅くまで開館しているため、割とアクセスしやすい。ただ、全ての自治体の図書館が同様のサービスを提供しているわけではなく、私のように条件が整っているわけではない。おそらく多くの人にとって、図書館の開館時間がネックとなることだろう*7

とはいえ、購入リストにはあるが優先度の低い本や、既に発刊されてから時間が経過している本であれば、図書館の規定にも、読み手の私たちのニーズにも干渉しない。そういった本であれば積極的に図書館へリクエストを出して購入を検討してもらうといい。

アレクサンドリア図書館 / Ancientlibraryalex, via Wikimedia Commons, Link

終わりに

以上がメルカリ読書法の代わりに私が提案する図書館読書法である。納めた税金の元を取ろうとするせこい市民の考えに聞こえるだろう。その意図もないことはないが、私が図書館読書法をブログ記事としたことにはもっと大きな意図がある。

私が図書館読書法で本当に伝えたかったことは、自分自身が読みたい本をリクエストすることで、ご自身が住む自治体の図書館レベルを上げていくことができるということである。かつてプトレマイオス朝エジプトの図書館が西洋世界の学問の中心と成り得たのは、プトレマイオス朝の王たちの強引かつ出費を惜しまない蒐集によるところが大きいと言われている。本に、知識に、意義を見出していた人たちがリクエストを上げ、書物を集めることアレクサンドリア図書館は偉大な図書館になった。

今の公共図書館はどうだろうか。最近は図書館運営の民間委託も進み図書館施設そのものは、スタバが併設されていたりと小ぎれいなものになっている。それ自体は喜ばしいことであるが、図書館の本質たる蔵書はどうだろうか?やはり読みたいものが少ないという人が多いだろう。

だから、読書の習慣のある人たちが図書館を積極的に活用し、読みたい本のリクエストを上げ、蔵書に取り込んでいくことが必要なのである。すると、図書館の蔵書の幅、質が高まり図書館がより魅力的なものになる。多くの市民が利用するサービスとなる。自治体は予算を付けることができる。結果として私たちが利用する図書館はより良いものになっていく。こういった好循環が生まれるのである。その一歩が読書を習慣とする私たち市民一人ひとりの図書の購入リクエス*8なのである。さあ、一緒に図書館レベルを上げていこうではないか*9

読書

友人のK君が学校図書館にリクエストを上げて受理された本

*1:汚れや傷をつけないという観点と、情報の鮮度という観点がある

*2:だからといって全く本を読まないよりは、メルカリ読書法を実践して読書数を増やした方がいいことは間違いないだろう

*3:しかしながら、一般財源にも限りがあるため図書館施設に広告を持ち込むことで新たな財源創出を試みている自治体もある。広告は人の目が集まるところに出稿するから意味を成す。多くの人が図書館に足を運べば、こういった新規財源も拡充され、図書館サービスもより充実したものになる。図書館に行き、サービスを利用することで町の図書館レベルを上げることができる。横浜市立図書館の新たな財源創出の試み(神奈川県横浜市立図書館):文部科学省

*4:PDF「①23区 一般会計における図書購入費の比率及び一人当たり資料費」

*5:あくまでも私的基準

*6:求む。有識者

*7:土日何もすることなければ散歩がてら図書館に行けばいい話ではあるが

*8:とはいえ、なんでも間でもリクエストを上げればよいかというとそうではない。通っていた高校の図書館は県内随一の蔵書量を誇る由緒正しい図書館だったのだが、図書購入費を悪用した友人たちの行いの結果、ラノベ専用のコーナーが作られた。高校男児のリビドーは実にすさまじい。

*9:いろいろ書いたが、出発点は納税の元を取りたいというこざかしい考えであることは内緒である。その証拠にこのエントリーのカテゴリーは「お金のこと」である。