座って仕事をしていると腰周りがきつい。夏場はお尻が蒸れて嫌な感じがする。だから私は探した。これらの課題を解決してくれる素敵な椅子を。
コロナで住環境にお金をつぎ込む消費者
Covid-19が蔓延してもう2年がたつ。これまでの価値観が大きく変わったといわれるが、少なくとも消費動向は変わったと言わざるを得ない。なぜなら私もその一人だからだ。
巣ごもり需要が拡大!コロナ禍で生活スタイルが変化。住まい選びはどう変わる? | はじめての住宅ローン
巣ごもり需要とは、先に挙げた記事曰く「コロナ禍により増えた在宅時間を快適に楽しむことを目的とした需要」のことである。需要は以下のものがあるという。
- 外食ができない→自宅で美味しいものを食べたい
- 旅行に行けない→自宅でエンターテインメントを楽しみたい
- 運動不足→自宅で運動したい
- テレワークが増えた→自宅の労働環境を充実させたい
私自身も自宅のエンターテイメント環境を高めるために、プロジェクターを購入したり、運動不足解消のためにYouTubeを見ながらHIIT*1などの運動を生活に取り入れた。
ZOOMの後ろに見え隠れするやつ
今(2022年3月現在)はだいぶ出社比率も戻ってきてしまったが、緊急非常事態宣言に緊急みを感じられていたころは、私もテレワーク中心に生活だった。もちろん住環境もゆっくり腰を落ち着かせて何か作業することなどを前提に組んでいないため、ニトリのダイニングテーブルにニトリの椅子で仕事を粛々と行った。
WEB会議をしていると社内社外にかかわらず、多少住環境が見え隠れする*2。はじめは子供部屋やリビングで仕事をしている人たちの労働環境が良化していくのが見て取れた*3。そして必ずと言っていいほど現れたのがアレである。
ゲーミングチェアに魅せられて
特に多かったのがゲーミングチェアである。というよりもただ目についただけかもしれない。ヘッドレストが特徴的なので、背景ぼかしフィルターを使っていても目に入ったのだろう。
高いもので20万円弱、安いものなら1万円強くらいのレンジで売っているこの商品であるが、なぜかこぞってお買い求めになっていた。話を振ると、なかなか言い値のする買い物だったのだろうか、それぞれ愛用する商品のプレゼンをしてくれた*4。
ニトリの椅子に座り続けて腰の痛みとお尻の蒸れに限界を感じていた私の心は、その度に大きく揺さぶられた。
テレワークの労働環境における課題
改めて私がテレワーク下で抱えた課題をおさらいしよう。
- 座り続けることに伴う腰の痛み
- 座り続けることによって発生するお尻の蒸れ
どちらも座り続けることによって発生する事象である。それを解決するためには、①腰に負担が全くなく、通気性抜群の椅子を見つけること、あるいは②仕事中に立ち続けることのどちらかのアプローチを採用すべきであることが考えられる。
上記の課題を抱えていたころの私は、ゲーミングチェアの素晴らしさを説く周囲の環境に流され、ゲーミングチェアをもって課題解決に取り組もうとしていた。
しかしながら、ゲーミングチェアには2つの難点があった。ひとつはデカくて邪魔であるこということだ。20台後半の男女が住む1LDKにゲーミングチェアを鎮座させるスペースなど到底ない。もうひとつはシンプルに高いということだった。コロナで業績を上げた業界も多くあるだろうが、私が属する業界はコロナで空前絶後のダメージを食らった業種の一つであり、従業員の身銭を削って会社の存続を立てようとしていた(る)。そのため、本当に必要なのかわからないゲーミングチェアに数万円もつぎ込む判断には至らなかった*5。
制約が最適解へと導くこともある
ゲーミングチェアというアプローチが取れないのであれば、もう一つのアプローチで解決を図るしかない。だから私は立つことに決めた。
仕事中に立つと決め、ネットの海をさまよってみると思いのほかスタンディングでワークすることは変なことではないことに気が付いた。むしろ最新のベンチャーの社長はみんな立っているという。なんならバランスボールに座って仕事をしている社長までいるという*6。
シンプルに考えると私が抱えたいた課題の発生原因はどちらも座ってることにあった。仮にゲーミングチェアという解決方法を採用していたらそれは部分的な対処でしかなく、問題の本質にたどり着くことができなかった。スペースという物理的な制約と価格という経済的な制約があったがゆえに、私は安易な解決策によらずに、最適解にたどり着くことができたのである。
後付けの知識~スタンディングワークの進め
以上が私がテレワークを経てスタンディングワークをするようになった経緯である。次から書くことはあくまでも後知恵でしかないのだが、スタンディングワークの有用性を補強するものであるため、皆さんに紹介しておきたい。
プロが言うところには
賃貸で借りている家から数キロ離れたところに実家がある。たまたま荷物を取りに実家に帰ると、何やら両親と業者が何か打ち合わせをしていた。どうやらダイニングテーブルを新調する予定のようだった。こだわりの強い両親は注文で家具をこしらえてくれる作家を市内に発見し、要件定義をしていた。
打ち合わせの中で机を新調するついでに椅子も合わせて作ろうかという話になった。当然、両親は座り心地のよい椅子を求める。そして作家はこう言った。「世の中に座り心地のよい椅子は多数あれど、本質的には座りやすい椅子などこの世には存在しない」と。理由としては、本来、人間の身体は立っているか横たわっているかどちらかを前提に設計されたものであり、座っていることそれ自体は身体に常に負担をかけていることと同義だからという。だからどんなに高いお金を払ったとしても、身体への負担をゼロにすることはできないのである。
面白い研究がある
京都府立医科大の研究によると、座っている時間が長いほど死亡リスクが高まるらしい。しかも、余暇の時間を使って運動をしたところで、日中の座っている時間の長さと死亡リスクの関係を完全に抑制することはできないのだという。さらに、日中の座位時間が2時間増えるごとに、死亡リスク*は15%増加することが認められた、のだという。
明らかにスタンディングで仕事をする方が身体への負担が少ないことがわかる。この記事を読んでいるあなたも明日からスタンディングで仕事をするしかないだろう。
読書
人間は座るために生まれてきたわけではない。では何のために生まれたのか
今週のお題「デスクまわり」