骨まがりの考え

骨まがりの考え

嫁にモテたい男のブログ

購買行動から考えるポジショニング戦略

山登りの道具は高い。

ただ、適切な道具無しでの登山は危険である。

これはどうにかして実益を兼ねたいと思ったときに生まれた選択である*1

偶然の重なり

ある夏の日のことである。朝9時ごろにむせ返るような暑さにうなされ目覚めた私たち*2は思った。そうだ。西穂高岳の山荘で一泊しよう。

もともと山登りが好きな私たち。関東に住んでいることもあり、高尾山、丹沢山*3、富士山、日本アルプスなどなどを天気の良い休日を狙ってはちょくちょく登っていた。

その中でも西穂高岳はちょっとした思い出の場所であり、何も予定を立てていなかった休日に登山しに行くにはちょうど良い場所であった*4。てんきとくらす*5で西穂高の天気を調べると登山指数はAだった*6。コロナ状況を見ても西穂の山荘は受け入れ可能な状況。かくして私たちは西穂高へ向かうことを決めた。この時もうお昼の11時である。

誰も違反切符なんて切りたくないよね

目の前で空を滑空したロープウェイ

私たちは飛ばした。覆面パトカーに切符を切られない常識的な範囲で中央道を車でひた走った。一度行ったことがある場所だし、何ならナビが付いている。一度も道を間違えることなく、新穂高岳温泉*7に到着した。しかし残酷にも到着時刻は最終ロープウェイが出発する16時を少しまわったころであった。こうして私たちの西穂高登山の旅行計画ははかなくも瓦解した。

次なる目的地は上高地涸沢岳

せっかく関東の南の方からはるばると車を飛ばしてきたのにもかかわらず、眼前で西穂高岳へのアクセスを絶たれうなだれる私に、嫁はこう言った。涸沢へ行こう。と。

涸沢は、北アルプス穂高岳の標高2,300mに位置しするところ。紅葉の時期になると多くの登山客でにぎわう絶景スポットである。涸沢へのアクセスは避暑地として有名な上高地から歩いて6時間ほどの場所である。私たちはここに早朝から登り、日帰りで下山するという計画を組んだ。

一路長野は松本へ そして登山グッズの調達

早朝からのアタックとなるため、その日は松本で一泊することにした。

その時に泊まったホテルは手づくり朝食と大浴場が人気のホテル 松本ツーリストホテルである。駐車場付きで価格も手ごろ。仮眠するにはちょうど良い場所だった。

宿を確保したのも束の間。問題がひとつ生じた。登山道具である。もともとは西穂高岳を目指した登山旅行であったため、装備が西穂高岳仕様になっていた。しかも、麓から登るのではなくロープウェイを使ったチート登山。山頂から移動したとしても独標くらいまで。行ってみればほとんど何の準備もしていなかったに等しい。

ただ、これから登るのは涸沢である。それなりに岩場があり、涸沢カールからさらに登って穂高に近づこうするものであればヘルメットは必須である。

宿泊先は松本ツーリズムホテル。松本駅近くのホテルである。駅周辺にはPARCOがあり、PARCOには好日山荘*8が入っている。必要なものはここで買える。食料調達もかねて私たちはPARCOへと向かった。

Expensiveなヘルメットとworkman+

好日山荘についた私たちはヘルメットコーナーへと向かった。さすがは信州松本の好日山荘である。品揃えは完璧である。MAMMUT, Black Diamond, PEZTL. メジャーどころは抑えてある。ただ、機能性やデザイン性はともかく、どうしたって高いのである。 

もう一度Google Mapで登山グッズを売っていそうな店を探してみると近くにWorkman+があった。Workmanといえばもともとは建設現場の作業スタッフ向けの商品を朝早くから販売しているショップ*9であったが、最近はそのお値段や機能はそのままに、アウトドアグッズ業界へ参入してきたことで知られる。

田舎モンの趣味に生きるブログ

そこで私たち*10はworkman+松本埋橋店へ向かった。

workman+での出会い

ここで一度登山におけるヘルメットの役割を考えてみよう。その役割とは以下の2つだと思われる。

  • 小石などの落石から頭部を守ること
  • 転倒時に頭部を守ること

突き詰めて言えば登山中のイレギュラー時に生存確率を上げることとも言えよう。

workman+はアウトドアグッズに力を入れ始めたばかりだったこともあり、私たちがworkman+松本埋橋店に行ったときにはウェアを中心に展開をしていた。そのため、私が求めていた登山用のヘルメットの取り扱いはなかった。しかし、workman+はworkmanである。働く男たちのための商品を取りそろえているのである。店舗をウロチョロした結果、私たちはヘルメットを見つけた。

workman.jp

小学一年生のために作られたかのような完璧な黄色のフォルムのヘルメット。商品ホームページには次のように記載されている*11ように、飛来物から頭部を守る機能があるだけでなく、耐電機能もある。めちゃめちゃにダサいが、先に挙げた登山時にヘルメットをかぶる目的に適う商品であることは疑いない。

商品の特徴
・飛来・落下物用 ※物体の飛来または落下による危険を防止または軽減するためのもの
・電気用 ※作業中の頭部感電による危険を防止するためのもの(使用電圧:7,000V以下)

登山グッズ再考

あらためて登山時のヘルメットの役割を確認しよう。

  1. 小石などの落石から頭部を守ること
  2. 転倒時に頭部を守ること
  3. 登山中のイレギュラー時に生存確率を上げること

3つの目的のうち、1,2はどのようなのヘルメットであってもその目的を果たすことができる。しかし、3点目はどうだろうか?

登山時のイレギュラーとして挙げられるものとして、滑落や遭難がある。遭難の場合、自助努力として予め登山計画を入山前に提出しておくことや、登山保険に入っておくこと、スマホGPS等を地上にいる友人や親族と共有しておくことなどがあるだろう*12。しかしながら、そういった準備がうまく機能しないときに役立つのが、同じ登山者の証言である。

そうなったときに力を発揮するのが、他者と異なる様相をしていることである。下の図を見てほしい。登山者(ここではガチ勢ではなく、趣味で登山するライト層とする)が好むのは、多くの場合、おしゃれ、かつ高単価のブランドメーカーの製品である。しかしながら、登山グッズのメーカーがそう沢山あるわけでもなく、またデザイン的にも目立つ色が好まれるため、同じような色合いの同じようなデザインの製品となる。そのような商品で足元から頭まで装備を固めるわけだから、皆同じような姿・形に見えてしまう

ブランド品とworkmanの関係図

一方で、workmanのヘルメットを採用した場合どうなるだろうか。もともと、登山者が好むボリュームゾーンに位置していないこの商品は、工事現場ではメジャーであれども登山現場においてはかなり異質な存在である。登山道ですれ違う奴がまっ黄色の工事用ヘルメットを装着していたら、少しは記憶に止まるだろう。この少しの記憶へのとっかかりが、遭難時の生存確率を少しでも上げることにつながるのであれば、どうだろか。また。ブランドメーカー品と真逆に位置するかのように見えるworkmanの黄色いヘルメットも縦の評価軸を見た目から安全性に置き換えたらどうだろうか。どちらも安全に関する目的に適うことはわかっているのだから、異なるのは価格だけである。そして経済的に有利なのは明らかにworkmanの黄色いヘルメットである。もはや選択すべきはworkmanの黄色いヘルメットだと言えるだろう

 

縦軸を安全に置き換えた

終わりに

以上が登山用ヘルメットが必要になった場面で私がworkmanの黄色いヘルメットを選んだ理由である。もちろん涸沢に登った当日は確実に私の頭を守ってくれたし、その後の登山においても何度も私を守ってくれている。もし災害が起きたときは、私はこのヘルメットですぐに町内会の救急隊として役立つことができる。

読書

この購入選択をするにあたってのキーポイントは他者との差別化であると考える。人は皆、「みんなこれを使っているから」という理由で何かモノを買いがちである。ただ、その思考を止めた購入行動の結果、自分がどのようなポジションに位置するかを今一度考えた方がよい。登山用ヘルメットの必要性を再考し、安全と他者との差別化の二つお両立することができるか考えた結果、workmanの黄色いヘルメットを使うことを選択しし、結果として安全と他者との差別化の二つを同時に達成することができた*13。今回の事例に限らず、皆さんはどうするべきだろうか。そのためには以下の本が参考になる。

 

今も使っているヘルメット。
これからもどうぞよろしくね。於 乾徳山山頂

*1:あくまでも私的考えである。登山は命に係わることであるので、安全を図りたい人は絶対にプロの意見を参考にしてほしい

*2:私と私の素敵な嫁のことである。

*3:塔ノ岳やらなんやら縦走で行ける山々

*4:途中までロープウェイで行くので体力的にはゼロダメージである

*5:登山者御用達のウェブサイト。

*6:登山指数Aは登山に適した天気。登山指数Cとかで登ると場合によってはタヒねる

*7:このロープウェイは絶景。コロナが落ち着いたらまた行きたいものである。【公式サイト】新穂高ロープウェイ

*8:登山グッズを取り揃えているテン上げショップ

*9:合唱コンクールの練習で吉幾三さんが歌くワークマンのテーマソングを歌ったことが思い出される。

*10:しつこいようだが私と素敵な嫁のことである。

*11:商品購入時は商品タグの説明を参照した。

*12:この記事はまじめに書いているようでふざけたことしか書いていないが、これだけは真面目に言っておきたい。登山をするならしっかりとした事前準備と安全を第一にした行動が不可欠である。

*13:とか書いてますが、workmanを選択した理由は単純に登山グッズのメーカーの商品が高かったからに他ならない。どうせなら私だってMAMMUTのヘルメットでカッコよく決めたいものである。